秋の訪れ ーキンモクセイの香りー

 今朝、窓の外からふわっと「あの香り」が漂ってきました。
 あたりを見渡してみると、やっぱり・・・。近くのキンモクセイの樹にオレンジ色の花が咲いていました。

 子どものころの懐かしい思い出があります。
 ある年の秋、キンモクセイの香りを知り、その香りに夢中になりました。それで、なんとかこの香りを自分のそばにおいておけないかとポプリづくりを試みました。でも子どもの自分には難しく…うまくつくれず。
 となると、本当に季節限定の香りです。この花が散ると香りがなくなってしまうのですから。
 花に顔を近づけて、思いきり吸い込みました。
 けれど、何度吸い込んでも、香りは自分の中に形としては残らなくて、子ども心に有限のものがあることを感じました。

 香りには、その香りをかいだ時のことや、風景を思い出させる力がありますね。
 みなさんにはどんな思い出があるでしょうか。

 面白いのは、毎年あったはずのキンモクセイの香りに、私がその年、はじめて気づいたということです。
 子どもには、それまで自分中心の世界にいた時期から、周囲の環境に気付き、その中にいる自分という存在(自己)にふっと気付く時期があるそうです。その頃、子どもの心は大きく成長すると言われています。

 心理療法でも、子どものカウンセリングでお会いしている中、子どもがふと周囲の環境に気付くという、新たな心の成長が感じられる瞬間に出会う時があります。そんな時、心の不思議さを感じます。

 さて、キンモクセイの香りが強いのは長くて1週間くらいで、それが終わると紅葉の頃、そして冬が駆け足でやってきます。
 今年の秋は、どんな秋の日々になるのでしょうか。